1970年の亡霊

「確かに治安出動は総理の権限になる。だが、既に災害出動という形で爆破現場の復旧作業に従事している訳だから、その後の管轄要請は知事権限で行えるだろう」

「災害出動…ですか」

「名目はな。しかし、それではテロと対抗出来まい。爆弾テロ犯は、国際テロ組織の可能性も考えられる。これまでのような極左組織とは違うようだ」

「我々自衛隊まで標的にした組織です。もはや、警察程度の力でどうにかなるとは思えません」

「うむ。そういう事で、災害出動させている部隊の他に、増援の要請を決定したいと思っているのだが」

「知事、議会には?」

「緊急時の派遣要請は、知事の権限で行えるとなっている。法的には何も問題は無い」

「出動するとしまして、我々に何をしろと?」

「そんなもん、決まっているだろう。テロ組織の排除と、一部凶悪過激な暴徒の鎮圧だよ。警察は、他の事件捜査と、秩序回復を任務とする」

「警察が納得するでしょうか」

「納得もクソもない。そうしないと、東京全体がスラムとなってしまい、法も秩序も無くなってしまう。現実に、この新宿などは不良外国人達が我が物顔でのし歩いているじゃないか。警察官など少しも恐れず、寧ろ拳銃を狙われて襲われる有様だ。一刻の猶予も無いんだ!」

「では、知事からの要請を受けて、正式に練馬の連隊を出動させます。携行火器の制限は?」

「そりゃあ名目が災害出動の応援だ。いきなり戦車や大砲を引っ張り出す訳にはいかんだろが、機関銃位までは持たせてもいいんじゃないか」

 出動させてしまえば何とでもなる、自衛隊幹部はいよいよ出番だと勇躍席を立った。