1970年の亡霊

 誰もが三山襲撃事件の犯人特定は難しいだろうと思っていたところへ、思わぬところから手掛かりになりそうな情報が入って来た。

 全国放送のニュースで取り上げられた事もあって、各地から犯人に関する情報が寄せられた。

 捜査本部が一番注目した情報とは、美容整形外科医から寄せられた情報であった。

「以前、うちの病院で顔の整形手術をした男性にそっくりだ」

 直ぐさま捜査本部はその美容整形医へ捜査員を差し向け、写真で再度の確認をさせた。

「手術したのが、今年の二月とまだ最近ですから、見間違いようがありません」

 手術を担当した医師の言葉に、捜査員は小躍りした。

 男の名前は、記載された手術承諾書によると、相馬春樹となっていた。年齢は二十九歳。

 更に、その病院では身分証明書の提示を患者に求めていた事から、免許証のコピーも入手出来た。

 住所と本籍地が判明し、早速当該役所で確認したところ、相馬春樹という人物の該当者無しと、戸籍課から連絡があった。

 コピーだった為、免許書そのものが本物か偽物かの判別がつけられない。

 住所地を調べると、そこは駐車場になっていた。念の為、いつからなのかと調べたが、十年以上前から駐車場だった事が判明した。

 仮に名前も住所も偽りであったとしても、免許証の写真が示すように、その男は存在していたのは事実だ。

 免許証の写真が、整形前の顔として捜査本部は公開した。