1970年の亡霊

 万事休す……

 とその時、警官が現れた。

 緊張で身体を小刻みに震わせながら、

「ナイフを捨てて、大人しくしろ!」

 と、拳銃を抜きながら警官が怒鳴った。

 身体を警官の方へ向けた男は、目にも留まらぬ速さで警官に体当たりをし、ナイフで喉を切り裂いた。

 噴水のように血を吹き上げた警官が、その場に崩れる。

 いつの間にか、男の手には警官から奪った拳銃が握られていた。

「動くな!動くと撃つぞ!」

 後から駆け付けた別の警官が、銃口を男に向けた。

 男は慌てるふうもなく、おもむろに奪った銃をその警官に向けた。

 警官もそれに反応し、即座に引き金を引いた。

 何発もの銃声が辺り一帯にこだました。

 警官の頭が石榴のように割れ、後方へ吹っ飛ぶ。

 警官の放った銃弾は、男の太腿を貫通し、ぐらりと身体を崩した。

 応援のパトカーが何台も止まった。

 男は加藤の方を見て薄ら笑いを浮かべ、そして銃口を咥えた。

「や、やめろ!」

 鈍い銃声とともに、男の頭ががくんと仰け反った。