3Fに着き、幸恵と二人で三山の病室へ向かうと、ナースセンターから出て来た看護師に声を掛けられた。
「あら、お母さんお帰りになったのでは?」
「ええ、そう思ったんですけど、丁度玄関でお見舞いに来て下さった方とお会いしたものですから」
「もう少ししたら、検温に伺いますので」
「はい」
危険な状態を脱したという安堵感からか、看護師との会話にも余裕が感じられる。
看護師に頭を下げ、歩き出したその時、廊下の奥から空気を切り裂くような悲鳴が聞こえて来た。
「!?」
ハッと立ち止まった加藤は、何事だろう?という怪訝な表情を見せる幸恵と看護師を、突き飛ばすようにして駆け出した。
頭で考えるよりも、身体が本能的に動いた。
微かに開いたドアから見えた光景は、加藤の闘争心をより滾らせるものだった。
「みやまぁーッ!」
ベッドを飛び越えて襲い掛かろうとしていた男は、素早く向き直り、加藤に鋭い前蹴りを放った。
部屋へ勢いよく飛び込んだ加藤の腹部へ、カウンター気味に蹴りが入った。
身体が浮くほどの衝撃を受け、加藤は背中をしたたか壁にぶつけた。
一瞬、呼吸が止まった。
男の右手が振り下ろされようとした。
「あら、お母さんお帰りになったのでは?」
「ええ、そう思ったんですけど、丁度玄関でお見舞いに来て下さった方とお会いしたものですから」
「もう少ししたら、検温に伺いますので」
「はい」
危険な状態を脱したという安堵感からか、看護師との会話にも余裕が感じられる。
看護師に頭を下げ、歩き出したその時、廊下の奥から空気を切り裂くような悲鳴が聞こえて来た。
「!?」
ハッと立ち止まった加藤は、何事だろう?という怪訝な表情を見せる幸恵と看護師を、突き飛ばすようにして駆け出した。
頭で考えるよりも、身体が本能的に動いた。
微かに開いたドアから見えた光景は、加藤の闘争心をより滾らせるものだった。
「みやまぁーッ!」
ベッドを飛び越えて襲い掛かろうとしていた男は、素早く向き直り、加藤に鋭い前蹴りを放った。
部屋へ勢いよく飛び込んだ加藤の腹部へ、カウンター気味に蹴りが入った。
身体が浮くほどの衝撃を受け、加藤は背中をしたたか壁にぶつけた。
一瞬、呼吸が止まった。
男の右手が振り下ろされようとした。



