一学期も残り僅か。

三年最後の夏休みを控えて、クラスの中はいつもとちょっと違う空気に覆われていた。

なんだろう。上手く説明出来ないんだけれど、浮かれているとも違う、妙な高揚感みたいなものが漂っていた。

一睡もしていないのに、やたらとハイな状態になった時と似ている。

それが、クラス全体に感じたんだ。

隣の席で始業前の雑談会を開いている女子軍団にしてもそう……

「ねえねえ、リカッペ、あんたんちのコネでアラシのチケット手に入んない?」

「アラシもいいけど、カンジャニ、何とかなんない?」

「あんた達、いつまでそんなお子ちゃまな追っ掛けやってんの。これからはトーマ君の時代よ。リカッペ、舞台のチケットは?」

「いい加減にしてよ。アタシはそういうものに一切興味がありません。チケットも手に入りません。以上!」

前言撤回。苦手女子軍団は永遠不滅に脳天気です。