「仕事の内容は、外国から船で送られて来た建築木材の仕分けなの。仕事自体は難しくなくて、フォークリフトで運ばれた品物の荷解き。どう、やってみない?」

僕はこれまでアルバイトというものをした事がなく、そういった部分で不安があった。

「君の将来の夢って、なんだい?」

突然、社長さんにそんな質問をされた。

「夢、ですか?まだ自分でも判らないんです」

「じゃあ、質問を変えよう。小さい頃は何になりたかったのかな?」

これまた答えに困る質問をされた。

何故なら、僕は子供の頃から、何かになりたいとか、大きくなったらああしたい、こうしたいといった事を考えた事が無かったからだ。

信じられないだろうけれど、本当にそうなんだ。

他の子達は、大きくなったらJリーガーになるんだとか、医者になりたいとかを作文に書いたりしてたけれど、僕が作文に書いた事は、

『早く大人になりたい』

というものだった。

僕は、正直にその事を社長さんに話した。