「愛には、一番祝ってほしい。って祐くんが言ったんだよ?」





アタシだって、あいつに世界で一番幸せになってもらいたいよ。



誰より、笑っていてほしいよ。



たとえ自分が隣でその姿を見られなくても



それでもいいって



「祐くん、勝手に幸せになってくんだよ。お姉じゃない人と。最後ぐらい困らせたってバチは当たんないと思うけど?」



だって散々、お姉に頼ってたじゃん。あの人。



そう言った妹の顔は、にやりとしていて、それでいて何だか頼もしくて。



他人事だと思って適当なことを言っている気もしたけど、



今夜ばかりは、なんだかそのいい加減さに救われた。







このまま終わるなんて



私自身本当に納得してんの?












一度煽られたからには



やるっきゃない



思い立ったが吉日っていうし



今しかないってようやく気付いた




『ちょっと、隣行ってくる』




降りしきる雨のことは、とっくに頭から抜けていて



目指す先、一直線に向かっていた







駆け抜けた玄関先に聞こえた微かな声は



がんばれ、と



私の背中にもう一押しの勇気をくれた













何もしない後悔はいらない



そうでしょ?



fin