二度目を読んでも同じだった。いや、それ以上だった。

 香坂玲という、障がいを抱えた少女が書いたからというのではない。もっと、人間の根本にあるものを拙い言葉ではあるかも知れないが、血の通った言葉で書いてあった。

 だからこそ十七歳の少女が書いた言葉に、五十八年も生きて来た私の心が動かされ、痛みを感じる程に突き刺されたのだ。

 私は、自分が詩の中で名指しにされたような気持ちになった。

 レイは、本当の優しさというものを知っている人間なのかも知れない。

 少なくとも私にはそう思えた。

 世の中の全てが偽善者だらけとは言わない。けれど、多くの人間が示す優しさは、与える側からの見方で決め付けたものではないだろうか。

 与えられる者、助けを欲する者が、真実必要とする優しさとは?

 この詩の中にその答えがある。

 閃きを私は求めた。私もこの詩の中から、真実助けを欲する者であった。

 何かに触発され、あたかも化学反応を起こす物質が如く、私の中で燻り続けていたものを呼び覚まして欲しいと願いながら、私はギターを手にした。

 私の中から生まれ出そうになるものを形にすべく、幾つものコードを弾き、音を繋ぎ、メロディにして行く。

 断片的にしまい込んであったメロディを心の中の引き出しから引っ張り出し、それらに当て嵌め、一つの曲にして行った。

 まだ納得し切れるものではなかったが、形にはなりつつあった。

「悪くないな」

 突然、心也の声がした。