玲との練習は、練習という言葉が似合わない程、楽しいものだった。
それは玲自身にも言えたようで、日を追う毎に彼女はレパートリーを増やし、次から次へと、
「今度はどんな曲?」
とねだり、疲れなどというものをまるで感じさせない程だった。
練習の合間は、彼女からの質問タイム。
私は極力この時間を大切にした。
理由は、玲の話の中から曲に繋がる何かを求めていたからだ。
彼女との会話は、私に様々な感情を眠りから覚まさせてくれる。
そんな中、前に約束していた曲を彼女に聴かせた。
『我が心のジョージア』
玲と同じ盲目のハンデを背負った歌手、レイ・チャールズ。
更に言えば、黒人という人種的ハンデも背負っていた彼。
玲に彼の生い立ちを話し、曲の背景を語る。
じっとこちらの話に耳を傾ける玲。
突然、彼女はピアノも方へ向き直り、聴いたばかりのメロディを弾き始めた。
そして……



