「なあ、せっかくだから、四人でこの後打ち上げも兼ねて飯でも食わないか」

 浅倉が那津子と私に同意を求めて来た。

「玲ちゃんもいいだろ?」

「賛成!」

 那津子も頷いた。

 こうなると、私だけがここで別れるという訳には行かなくなった。

 浅倉の真意は読めている。私と那津子の関係の修復。そのきっかけ作りである事は充分に判っていた。

 那津子との事は、私もどうにか出来るのならそうしたいとも思っている。

 けれど、自分の中にある諦めも判っていた。せっかくの時間を気まずい思いにさせたくないという感情があったが、私は浅倉の言葉に同意した。

 それは、決して那津子の事では無く、玲という存在に心の中が埋め尽くされていたからだ。

 那津子が運転して来た車は、ワゴンタイプで車椅子が乗せられるよう、サイドに電動リフトが付いているものだった。

 荷物を後部のスペースに積みながら、

「何処で飯にするんだ?」

 と、浅倉に尋ねた。

「そうだなあ、横浜まで来たんだから、中華街にでも行くか」

 浅倉がそう言うと、玲は嬉しそうに手を叩いた。

「中華、好きなのか?」

「うん。まだパパとママが居た時は、よく中華街に行ったんだよ」

 私は、玲の言葉を聞いて、那津子の顔を見た。

 那津子は、そうよ、と無言で頷いた。