NEXT ONEファイナル出場者は、その年の一月から十二月第三週までの間に出場した予選通過者から選ばれる。

 必ずしも一回の放送で一組が選ばれる訳ではなく、寧ろ該当者無しの回の方が多い。

 私達が出場した月からは、一組。つまり、私達だけが本選(ファイナル)に進めたという訳だ。

 毎週の予選は、お台場のテレビスタジオで行われるが、ファイナルはそれに相応しい会場があてがわれていた。

 その会場とは、赤坂のブルーフォックスというライブシアターだ。

 ブルーフォックスは、ニューヨークのアポロシアターを模して造られたライブシアターである。

 オープン以来、本場アメリカから数多くのジャズ・プレイヤーが来演したり、国内外の有名アーティストがここのステージでライブコンサートを行って来た。

 席数は三百ちょっとだが、音響設備と照明は、そこらのコンサートホールなど足元にも及ばない位に素晴らしい。

 ブルーフォックスでライブをやれる日本人ミュージシャンは、その時点で一流であると認められた者達なのだ。

 NEXT ONEのファイナルに出れるという事は、イコール、ブルーフォックスという聖地に立つという事になる。

 プロでもなかなか立つ事の出来ないその舞台で、レイの新しい世界が始まりを告げようとしていた。

 ファイナル出場者は、ソロも含めて全十組。

 私達の出番は、七番目に決まった。