『ぼくに歌わせて……盲目で車椅子、二重苦の少女の奇跡と復活』
そんなタイトルを付けられたレイのドキュメントの撮影が、密着取材と平行して行われた。
放送は、十二月第一週の土曜日に第一回目。内容は、NEXT ONEの本選当日までの軌跡を追ったもの。結果の如何に関わらず、十二月最終金曜日に行われるNEXT ONEの本選をどう戦い、レイはその先をどう進むのか……。
説明を受けた時に、テレビ局側の打算というか、あざとさが見え過ぎて口を挟む気にもならなかった。
ドキュメントの最終回を本選放送の翌日に持って来た辺りに、どうしてもそういう受け止め方をしてしまう。更に言えば、穿った見方をする奴等なら、NEXT ONEのグランプリは、もうこれで決まったみたいなものだと言うだろう。
出来レース。
レイ コウサカ&ロンリーハーツ売り出しの為の売名行為……
口さがない連中なら、間違いなくそう言い回る。
そういった空気を全てぶっ潰すだけの自信はある……
レイが、香坂玲のままであるのなら。
サムタイムのライブにも、当然取材スタッフは同行した。常にレイはカメラのフレームに入れられ、マイクが一言漏らさず声を拾って行った。
第一回目の放送が、地味なドキュメント番組であったにも関わらず、局側の予想を遥かに上回る視聴率を叩き出した。
番組内で放送された愛光園には、レイ宛に手紙が多く寄せられた。
サムタイムでのライブを番組で観た者の中には、遠く北海道や四国などから実際のライブを観たいといって店に来、ハルさんを驚かせもした。
レイ コウサカは、それこそ、その辺の専属アーティストなんかよりも有名になっていた。



