「よしっ。
右腕はこれでほぼ完治だと思うんだけど…ちょっと動かしてみてくれる?」
「ああ。」
右腕はもう完治していた。
何の痛みも感じない。
「どう?痛くない?」
「ああ。」
「それじゃ…次は足だね。両足とも酷い怪我だ…。
左腕は軽い怪我で済んだみたいだけど…。」
「足は…動ける程度に治してくれればいい。」
「え?」
「少し…痛みを残しておきたい。」
「…紫紀…。」
痛みだけが現実だ。だから残しておきたい。
残したところで華央が戻ってくるわけでは決してないけれど…。
ああして再び華央と言葉を交わしたことを夢だと思いたくなかった。
雪の中の君は…
まるで儚い夢のような存在に見えたから。
右腕はこれでほぼ完治だと思うんだけど…ちょっと動かしてみてくれる?」
「ああ。」
右腕はもう完治していた。
何の痛みも感じない。
「どう?痛くない?」
「ああ。」
「それじゃ…次は足だね。両足とも酷い怪我だ…。
左腕は軽い怪我で済んだみたいだけど…。」
「足は…動ける程度に治してくれればいい。」
「え?」
「少し…痛みを残しておきたい。」
「…紫紀…。」
痛みだけが現実だ。だから残しておきたい。
残したところで華央が戻ってくるわけでは決してないけれど…。
ああして再び華央と言葉を交わしたことを夢だと思いたくなかった。
雪の中の君は…
まるで儚い夢のような存在に見えたから。



