『くるみ』 心地よく響く声が、あたしの名前を呼ぶ。 どこまでも甘く沈む声は、優しいのにどこか切なくて。 『……くるみ』 だんだんと遠ざかっていく声。 あたしは、堪らなくなって手を伸ばす。 愛しくて仕方ない人に、 守りたくて仕方ない人に、どうにかして触れたくて―――……。