「隆(タカシ)さん……」 「ばあ、誰? 隆って」 「お前のひいじいちゃんの名前だよ」 私は笑ってひ孫を見る。 夫によく似た強い眼差しが、 桜を見つめていた。 「桜、綺麗だねぇ。ありがとう」 「へへ。たまにはばあ孝行しないとな」 ひ孫の笑顔が、今までで一番頼もしく見えた。