麻宮千晶が今の放送局に入社して既に十三年になる。

 元々、報道指向が強かったが、放送局全社に面接応募した結果、FM局一社だけが採用となり入社した。

 入社八年目に『ちあきのお耳にひと時』という冠番組を受け持たされた。

 入社当初からの希望であった報道の仕事は、思っていた程なく、定時音楽番組のパーソナリティの仕事ばかりが続いた。

 自分の名前を冠にした番組を持てるようになると、多少意識は変わったが、心の奥にはまだ報道畑への想いは残っている。

 この番組を任される事になった時、千晶は一つだけ番組ディレクターに注文を出した。

「リスナーのリクエストにも勿論応えるけど、基本は、私の自由選曲にさせて欲しいの」



 ディレクターは了承した。