いったいどれだけの時間が過ぎたのだろうか?

遥か太古の記憶を持つそのモノは、目覚めの時を待ち続けていた。

ふと気づくと自分が何のために存在し続けているのかさえも忘れてしまう。

そんな長い時の中で変化の時が訪れた……。


それは、最初はわずかなものだった。

とても懐かしい気配を微かに感じる程度のもの。

しかし、それは徐々に近づいてきていた。

近づいてくるにしたがって、それは忘れることなどできない、とても大切な二つの気配であることがわかった。

陰と陽の気配。

陰の気配は、とても自分に近しいモノの気配。

そして、陽の気配はとても愛しいモノの気配。