まほろば【古代編】のレビュー一覧
500ページと長編です。 しか~し! アッという間。 重厚かつ丁寧な構成。 読み進めるほどに、それぞれの気持ちがわかり、最後の章に畳み掛ける。きっと、お気に入りのキャラに出会えると思いますよ。 あなたもしばし、まほろばの世界に浸ってみてはいかがですか?
時代を超えて、出会ったアキとハルカ。 幼なじみの少女を救いたいというアキにハルカは力を貸すことになる。 外敵にさらされる国を、大切な人を守るために。 自分の持つすべての力を発揮する少年少女たち。 何人もの視点から語られることによって浮かび上がる、古代の日本の物語。 忘れかけていた何かを思い出させてくれます。
敷島の大和心を人問わば 朝日ににほふ山桜花 本居宣長が詠んだ歌に、こんな歌があります。 "大和心とは何かと人が問うなら、朝日に咲き誇る山桜の花だと答えよう" の意です。 古代日本が舞台。 特別な力を持つ少年、少女たち。 彼らの理想の国とは、「まほろば」。 理想に向かう彼らのまっすぐな想いは、確かに鮮やかに咲き誇る山桜のようです。 その真剣な想いは、大人や、国をも変える。 そして、互いに大切に想い合う姿は、美しくもどこか儚い、日を浴びてきらりと輝く薄桃色の花びらのよう。 人の想いは、古代も現代も何ら変わりないのかもしれません。 朝日に咲き誇る山桜の花ような、大和心が散りばめられた古代の世界へ。 あなたも迷い込んでみませんか?
構成の妙。 一章ずつ進むごとに、柱が一本ずつ立つようで。 そうして出来上がった舞台の上での最終章は、 見応えあり なのです。 古代、混沌としたその国で、 特別な力を持つ少年・アキ 彼を癒す少女・トヨ 彼に傅く護衛官・ツクヨミ 彼に救われた妖・ホムラ そして、現代から召喚された女子高生・ハルカ 彼らの懸命が尽くされた創国の物語を、 作者の滑らかな筆語りで体感してください。
この不思議な女子中学生はいったい何者だろう・・・? そう思っているうちに、読者はいきなりその時代に引きずり込まれることになる。 勾玉(マガタマ)が力を持ち、妖(ヨウ)が生息する時代。 そこには己の力を操る人間が住み、結界が張られた村がある・・・。 現代と古代を繋ぐ、壮大なストーリーの第一部は『古代編』。 次々に視点を変えて物語りに深く入り込ませる作者の手腕は見事。 史実に基づいた古代テイストも相俟って、読者は古の日本の虜になるに違いない。 もう一度言うが、これは時代を繋ぐ壮大なストーリーの第一部。 次の時代に繋がる鍵が、お話のあちこちに隠されている。 ぜひ、それを見つけながら読み進めていって欲しい。 さあ、古代への扉を開ける準備はできましたか?