これが夕紀とあたしとの出逢い。
今ではあの時の緊張なんか奇跡だと言えるぐらい二人でいることが自然になっている。
「ねぇ~今日部活終わったら、ange寄ってもいい?」
部室に向かう間、夕紀が尋ねた。
「うん、いいよ。なんか買うの?」
angeとはこの辺りの女子高生はほぼ知っているといっていい雑貨屋だ。
「んーちょっと千秋に頼まれて。なんかこの前休みのとき行って迷った挙句に諦めた時計があるらしんだけど、やっぱどーしても欲しいって。」
面倒くさそうにイーストボーイのスクールバックを左右に振り回しながらぶつぶつと呟く夕紀。
ちなみに千秋とは、夕紀の妹。いま中3の夕紀によく似た大人びた子だ。アタシが夕紀の家に遊びに行った時には必ずと言っていいほど千秋ちゃんが加わって3人で遊ぶ。夕紀ともよく話すから姉妹結構仲が良いと思う。
「優しいじゃん?お姉さま(笑)」
少しからかいがてら言うと、
「別にそんなんじゃないもん。買ってきてくれたらルシアンのカヌレ奢ってくれるっていうから。」
まあ、なんだかんだ言って妹には弱い姉というところだろう。少し照れてる夕紀も珍しい。
「まあなんだかんだ、面倒見いいよね。」
「全然っ!」
全力否定するツンデレ姉。



