すたんだっぷ!!


am9:00

「じゃあ単語テスト配ります。10分まで。はい、始めて。」


教室のホワイトボードの真上に掛けられている電波時計をちらっと眺めて、担任は言った。


今回の範囲を全く見ていなかったアタシにとってまさに恐怖だった。


・・・・・一つも書けない。つーか、なんでこんな日に限って難しい単語ばっかり出すんだ!?この野郎っ!!!泣


いつもなら勘で分かったりするのに。今日はまさに、bad day・・・悪夢でしかない。


意味が分からなすぎて泣きそうになった。マジで0点とか勘弁してほしい。後で片平に何言われることか。ただでさえ2年に上がってから英語の成績落ちてんのに・・・。


自業自得な結果、虚しく時間だけが過ぎていく。あと1分だ。ヤバし!!!!わかんねえぇぇ!!!!

前の席の浦田君は、開始早々勢いよく書きこんでいたためか、もうかれこれ5分ぐらい右手でペン回しをしている。余裕かましてる人間がアタシにさらなる追い打ちをかける。


あと30秒・・・20秒・・・10、9、8、7、6、5、4、3、2、1―・・


「はい、書くの止めて。赤ペン出して、自己採点して下さい。点数書き忘れないように。」


毎週決まったセリフ。1年の時も今の担任が英語担当だったから、きっと何百回も同じことを聞いている。事務的なことしか言わない先生だ。


――――・・



「はい。採点終わったら、前に回して。」


明らかに満点の表情の浦田君が後ろを振り向き、こちらに掌を差し出した。コイツにだけは点数見せたくない!


いつもは表向きでも対して苦じゃないが、今回ばかりはわざわざ裏返しで渡した。絶対見られてなるもんか。


あたしから受け取った彼はすぐに自分のをそれに重ね、自分の前の席の人にテスト用紙を回した。


なんとか、見られずに済んだ。








まさか1点なんて、誰が学年トップに見せられるだろう。