先生との関係を壊さないための努力なら、あたしだって、なんだってする。


先生と離れないためなら、何だって―――……



「じゃあ、一つ。

学校で俺に見とれない事」

「……」

「二つ、俺がモテてもやきもち妬かない事」

「妬かないし」

「……そこは否定しろよ。つぅか、学校では我慢しても、二人になったらむしろ妬け」

「三つ、やきもちを強要しない事」

「あ、こら」


先生とじゃれ合いながら、笑う。

一頻り(ひとしきり)ふざけた後、先生は少し黙って……、あたしを見下ろす。


「三つ……」


少し間を空けた先生に顔を上げると、想像もしていなかった真剣な表情をした先生と目が合って。

あたしの目を釘付けにする。

しばらくの間、そうしてあたしを見つめた後―――……


「三つ……

もう絶対に『別れる』なんて言わない事」


先生の真面目な表情に、目に涙が浮かぶ。

じわっと一気に浮かんで零れた涙をそのままに、何度も頷いて答える。


「……うん……言、わない。

絶対、言わない……」


涙のせいで途切れがちになりながらも、約束する。

せっかく、涙を流しながらも約束したのに……先生は、あたしを更に泣かせるような言葉を続ける。