この集会の意義を感じられない女子生徒は、話なんて聞かずに近くの生徒とのお喋りに専念する。

 聞いている生徒もいないわけではないから、とりあえず、小声で。

 出席番号順に並べられている関係で、私は前に座っている木下ほのかちゃんと話していた。

「ねえ、恵里ちゃんって今彼氏いるの?」

「いるよ、一応」

 女子生徒の話は、もっぱらコイバナ。

 今までに付き合った人数がステータスになるこの学校では、

「何人目?」

 という質問が次に来るのが自然なことだった。

「うーん、数えてない」

 私がそう答えると、ほのかちゃんは、

「え、じゃあ超多いんじゃん」

 と尊敬の眼差しを見せる。

 ほのかちゃんは黒髪のボブヘアーに緩いパーマをかけているのが印象的で、化粧もナチュラル、靴下は紺のハイソックスで、北高で言えば癒し系な女の子だ。