それを聞いた三村は、声も高らかに笑い始めた。

「なんだー。そうなんだー」

 笑いながらタバコの火を消し、バッグから飴を2粒取り出した。

 一つを俺に手渡し、もう一つを自分の口に放る。

 俺もタバコを手放し飴を口に入れた。

 レモンの味がした。

 初恋の味ってか。



 中学の頃の俺たちは、恥ずかしいほどに素直じゃなかった。

 顔を合わせばケンカばかり。

「小出ー! 何なのよ、これは?」

「三村の似顔絵」

「はぁ? もっと上手に描けないわけ?」

「上出来だろ。そっくりだっつーの」

「どこがよ。あたし、こんなゴリラみたいな顔じゃないし」

 からかっては追い掛け回される――。

 バカみたいなやり取りが楽しかった。