歩いていると、たまに彼女の肩が俺の腕に当たる。

 その度に俺の心は躍る。

 少し歩いてアルタ前に出た俺たちは、そこでやっと足を止めた。

「タバコ吸っていい?」

 キレイな顔から似合わない言葉を吐く三村。

「うん、俺も吸うし」

 二人でタバコに火をつけ、並んで手すりのようなところに寄りかかった。

 俺のものではない煙は、香ばしい匂いがした。

「ねえ、小出」

「なに?」

 言葉と共に、煙が宙を舞う。

「あたしね、中学の時……ね」

「うん」

「あんたのこと、ずっと好きだったんだよ」

 そう言った三村に、俺は完全に堕ちた。

 気持ちが同じだったことの確証を得られて、感動。

 大人になった今なら素直に言える。

「俺も。お前のこと好きだったんだけど」