「昨日ね、彼氏と将来について少しだけ話したの」
「将来?」
わかっているのに、思わず聞き返してしまった。
同棲中の二人にとっての「将来」なんて、一つしかない。
「結婚……するの?」
首を横に振った三村に安心した。
「もちろん視野には入れてるんだけど……今はまだ考えてないの。でもね、もし結婚したらって話、付き合ってればそういう話にもなるでしょ?」
確かにそうだけど、俺としてはその話を進めて欲しくない。
「そういう話をすると、彼ね、あたしを責めるようなこと言うの。あたしってさ、中身は全然女らしくないじゃない? 料理以外の家事って苦手で、それは彼も知ってるんだけど……ほら、家事の分担とかあるじゃない。彼はね、貧乏したくないから私に働いて欲しいみたいなんだけど、家事も全部あたしにやらせたいみたいで。なんていうか、そういうの納得いかないっていうか……。そういうところがね、子供だって言われたりとか、なんか悔しいじゃない」



