それから久美は、何かと俺を勘繰るようになった。
仕事上がりに飲みに行くと言えば、
「誰と?」
一緒にいる間に携帯が鳴れば、
「誰から?」
と必ず聞かれるようになった。
今まではそんな細かいことを聞いてくることはなかった。
あまりにもしつこく干渉してくるときは、ケンカになったりもする。
この日は、俺もつい熱くなってしまった。
「そんなに俺が信用できない?」
言葉を詰まらせる久美。
信用も何も自分は浮気しているくせに、腹が立った。
久美が不安になっているということは重々わかっているつもりだったのに。
「俺、疑われるの結構辛いんだけど」
自らの罪を隠し通すために、逆ギレする。
カッコ悪いが、そうするしかできなかった。
「俺が怪しいと思うなら、距離を置くか?」
「そんな、やだよ……」



