ペアリングを外して



 いっそのこと、三村とは中途半端な気持ちで付き合いたかった。

 単なる浮気心で、火遊び程度にしておきたかった。

 しかし欲は理性的に働いてくれないらしい。

 会うたびに三村が欲しくなる。

 人のものだと思うほど、欲しくなる。

 すっかり大人になったと思っていたのに、俺のガキ大将体質は変わっていないらしい。

 三村が欲しい、なのに久美は捨てれない。

 どっちも自分のものであって欲しい。

 俺のものは、俺のもの。

 人のものも、俺のもの。

 でも日本という国の道徳では、それが悪とされる。

 大人として、男として、いつかは三村との関係を絶つことになるのか。

 あるいは久美を切って三村を「A」から奪うのか。

 それとも、どちらも失うのか。

 今手にしている幸せの代償に、俺は必ず苦しむ時が来る。