ペアリングを外して



 そして、当日。

「ねえ、彼女にバレたりしてない?」

 三村の一言に、俺は不安を感じた。

 バレたかどうかではない。

 バレる可能性があるから会うのを控えよう、なんて言われるかもしれないと思った。

「バレてないよ。そんなヘマしない」

 余裕なふりをして答えると、三村は馬鹿にするような顔をしてへぇ、と笑った。

 その顔から質問の意図は読み取れない。

「三村こそ、一緒に住んでるんだろ? 怪しまれないわけ?」

「全然。むしろそんなんで大丈夫かよ? ってくらい」

 答える彼女はため息をついて苦笑をした。

「中学の時の同級生に会うって言ったら、この調子で地元の友達は大事にしろ! なんて背中押してくれるの」

 なかなか寛大というか、理解のある男のようだ。

 まあ、三村の言葉に嘘はない。

 実際、中学の同級生と会っているわけだし。