こっぱずかしいことを言っているのは、重々承知だ。

 電話の向こうで、三村も笑っている。

 触りたいって、バカじゃねーの、俺。

 エロオヤジかよ。

 やっぱ二十六にもなると、オッサンか?

「あんた、十年前から比べると随分ストレートになったね」

「うっせー。お前だって同じだろ?」

 確かにー、とまた三村が笑う。

 十年前に素直だったら今の俺たちはなかったんだよ。

 手を広げ、眺め、三村の触感を思い出す。

 同じ女でも、柔らかい久美とは少し違う、引き締まった体。

 十年前にはガマンできたことも、一度触ってしまった今ではもう無理だ。

「でもあたし、触りたいなんて表現しないもん」

「じゃあ、なんて言うの?」

「えっとね……やっぱ恥ずかしいから言わない」

「はぁ? 俺にばっかり恥ずかしい思いさせんなよ」

「自分が勝手に言ったんでしょー」