「え……?」

 言った後で、少し後悔した。

 一緒に住んでいる彼氏がいるのに、迷惑だった……?

「ごめん、忘れて」

 おどけた声でフォローを入れると、三村は焦った声で返す。

「やだ、忘れないもん」

「え?」

「あのね、あたしも同じこと考えてた」

「え……?」

 本当に忙しい心だ。

 ヘコんだり、アガったり、三村の言葉に激しく一喜一憂している。

「黙っちゃってごめんね。同じこと言おうと思ってたから、ビックリしちゃって」

「いや、そんな。なんか……すげー恥ずかしくなってきた」

 情けない声を出した俺を、三村が笑う。

「恥ずかしいのはあたしも一緒だよ」

 三村の笑い顔を思い出すと、俺も自然に笑っていた。