ベッドに寝転び、「大したことない用」を思い出そうとした。

「えーっと、何だったかな」

「忘れちゃったの?」

「いや、思い出した。湯本が三村に会ったって言ってたから」

 本当は用なんてなかった。

 ただ話したいだけだった。

「ああ、聞いたんだ」

「うん」

 二秒ほど、沈黙。

 そして、

「あのさ」

 二人で同時に話し出した。

 互いにプッと吹き出す。

「何だよ、先に言えよ」

「イヤ。小出から言って」

 三村の笑いが治まるのを待って、俺は低い声で言った。

「俺……また、会いたい」