でも、明日三村から電話をくれると言っていた。

 嬉しくて、楽しみで、溢れてきたむず痒さを、俺はベッドの上で手足をばたつかせることで発散した。

 まったく、中学生じゃあるまいし。

 いや、中学時代の気持ちをぶり返しているんだ。

 俺の心は今、中学生なのかもしれない。



 翌日、自宅に到着する直前に三村から電話がかかってきた。

 俺はきっと、2コール以内で通話ボタンを押したと思う。

「あ、あたし。今大丈夫?」

「うん。大丈夫だけど」

 今がどんな状況だろうと、三村だったら大丈夫。

 なんて、大げさか。

「昨日はごめんね。タイミング悪かったみたい」

「いやいや、こっちこそ忙しい時間帯に悪かったよ」

 ここで自宅に到着し、鍵を開けながら会話をした。

 ネクタイを外し、いつもの場所へ放る。

「ねぇ、大したことない用って何だったの?」