「もったいない?」
「うん、電話代が」
そっちかよ!
……ヘコむ。
「なんてね。だって小出から電話なんて……ドキドキしちゃったし、逃したくなかったの」
一気にテンションが上がった。
我ながら忙しい心だ。
「あぶねーから飯に集中すれば? 火、使ってんだろ?」
「ううん、もう火は止めてあるよ」
「いいよ、大した用じゃなかったし」
笑い合っていると、後ろで「ピンポーン」と聞こえた。
「あ、帰ってきちゃった」
「そっか」
「また明日、あたしから電話するね」
「え、あ、うん」
「ばいばーい」
そのまま、電話は切れた。
帰ってきちゃった……か。
これから二人で、三村が作った飯を食べるのだろう。
まったく、羨ましい。
嫉妬でムシャクシャする。



