心の中で自嘲して、返事を送る。

〈お疲れ。俺も話せて良かったよ。懐かしかった〉

 湯本からの返信は早かった。

〈そういえばあの日、ホントは菜月ちゃんと一緒にいて遅れたんじゃないのぉ?〉

 またしてもいやらしい笑みの絵文字。

 鋭い。

〈だから、駅まで送ったよ〉

 事実は隠し、いつものようにそっけなく返信をする。

〈ま、いいけど。また集まろうね~〉

 程よいところでメールは終了した。

 湯本のメールには「さっき菜月ちゃんと会って」とあった。

 三村は、湯本と何を話したのだろうか。

 気になる、気になる……。

 おもむろに携帯を操作した。

 電話帳の「ま」行。

 開いた一番下に、「三村菜月」という表示。

 メールアドレスも、電話番号も、三村と繋がる手立てはここにある。