なあ、三村。

 人のものであるお前が、人のものである俺に抱かれる気分はどうだ?

 俺には、罪悪感を感じる余裕なんてないみたいだ。

 普段とは違う男の前で体を揺らす気分はどうだ?

 できれば俺が、初めての男になりたかったよ。

 十年の時を経て叶った恋に溺れる気分はどうだ?

 俺は……嬉しいよ。

 今でも忘れていないのは、俺だって同じなんだ。

 お前から俺を誘ったこと、後悔させたくない。

 俺によって満たされて欲しい。

 俺自身が、お前に満たされているように。



「小出……」

 切ない声は体中に響き、新しい感情を生む。

 願わくば、同じ感情がこいつにも生まれていますように。

 互いの相手を裏切った罪は、二人でかぶって生きていきたい。

 だからせめて、最高の思い出を――。