「――…人間は翔べないサ」

ケタケタと私の目の前で
カラスが笑った。

「五月蠅いよ。――墜ちるだけだね」

学校の屋上、
高いフェンスを乗り越えて
私は足場の狭い場所に
バランスを保ち立っている。

茶色く染めた長い髪が
風に遊ばれる。

制服のチェックのスカートが
風で揺れる。

「だったら何故翔ぶのサ?」

カラスがフェンスにとまり
くちばしを動かして私に言う。

愚問ね、と私は一蹴し
言葉を吐く。