この手で紡ぐ神の欠片




詠人が私の髪を撫でた。

染めたせいで少しパサパサになった髪が、

何度も

何度も

優しく撫でられる。


「……ねぇ、詠人」

「ん?なぁに?」

「………アタシ詠人が好きだなって」

「僕もだよ」

「馬鹿。そういうこと言うときは少しためらえ」

「ためらったら、逃げちゃう気がして」

何が、とは聞かなかった。

その代わり、
ごめんねと言葉を落とした。

「…なんで謝るの」

詠人が聞いた。

私はためらいを見せてから、
ゆっくりと言葉を紡ぐ。

「アタシはそんなことを言っちゃ駄目なんだよ」