この手で紡ぐ神の欠片




小声で言った、お邪魔します。

玄関には、幾つかの靴。
私はそれらを見て詠人に聞いた。

「詠人、お父さん…詠輝さんはいらっしゃる?」

詠人はうん、と頷いて
オレの部屋に行こうと言った。

「そうだね、では失礼するよ」

心なしか、私たちの声は小さい。

階段を上がり
詠人の部屋に入った。

パタン、と
詠人が扉を閉めて

「はぁ~」
「ふぅ~」

お互い息を吐いた。

目が合って、笑った。