この手で紡ぐ神の欠片

優しく、優しく、
私の額に触れた詠人の唇。


「―――っあぁ…」

大きく見開いた私の目から
涙が一筋伝った。

「た、珠輝！？」

一瞬詠人は私の顔を見て戸惑ったが、
よしよし、と言って
私を抱き締めた。

不思議と一滴の涙しか出なかった。

それだけだった。

静かな私に、何も聞かず
詠人はただ抱き締めていた。

止めてと言って
振り払うことは出来なかった。

私たちには
血の繋がりがあるのかもしれないのに。

自分勝手だが、ただ
抱き締められることを望んだ。


冬の風が通り過ぎた。