その言い放たれた言葉に
一番に反応したのは詠人だった。

「なっ…!?」

表情を強張らせ
言葉さえ失っていた。

振り向いた私たちの視線から
半ば逃げるように
詠輝さんは顔を背けた。

詠人の方は、
いつものような軽い様子を見せず
いまにも
獣のように飛び掛かりそうだ。

「詠人」

私は彼の肩に手を乗せた。

「行こう」

詠人は言い返そうとしていたが、

「……あぁ」

結局それだけ言って頷いた。