冬の風を受けて冷たくなってしまった頬を、手のひらで暖める。 指についた結露が右のこめかみに触れてヒヤッとした。 何傷心しちゃってんの、あたし。 ああ、そうだ。 嫌い、なんて言われ慣れてないからだよ。 短い響きなのに、心には随分重くのしかかるんだな。 しゃがみ込んでため息をつくと、吐き出した息がやけに熱かった。