誰かと手を取る行為自体ひどく久しぶりだった。
アオの手の平の中で一回り以上小さなその手が、小刻みに震えている。

だけどうららはもう前以外は見ていない。
その瞳に迷いはない。


暗闇に囲まれ頼りない蝋燭が揺れる中。

その手の温もりだけは、確かだった。