「いよいよオズと対面かぁ」

「つーか、そんなカンタンに願い叶えてくれんのかよ」


「おれが知るわけないじゃん」

「──…ッ、そうだなテメェに聞いたオレがバカだった」


相変わらずな会話をまじえながら、目前に迫った目的地へと歩みを進める。

オズに会えたら、みんなは何を願うのだろう。
気になったけれどそれはもう聞けなかった。

願いが叶う時…それはつまり、別れの時なのだ。


先輩たちは現実に戻っても、願いの代償にここで過ごした記憶は消える。
ぜんぶなかったことになる。


――ソラは…わたしは、どうなるんだろう。わたしの場合は少しちがうと、北の魔女は言っていたけれど…。


先輩達の中からここでの日々が、自分の記憶が消えてしまうこと。
寂しく思わないわけはないけれど、だけど代わりに全部自分が持っていこう。
今はただ、そう思えた。