何だか、二人の間に火花でも散っているかのようだった。


 少しの間異様な雰囲気で睨み合う二人。

 そのうち呉羽先生が寿先輩の視線を受け流して口を開いた。


「ふん、まあいいさ。桂にやってもらいたいことがあるだけだ」

 そう言った呉羽先生は人差し指をクイッと動かし、わたしに来るように命じた。


 呉羽先生の近くに行くのが怖くて、思わず寿先輩の制服の裾(すそ)をきゅっとと掴んでしまう。

 それに気付いた寿先輩は、わたしに優しく微笑んだ。


「大丈夫です。私がついてますから」

「……はい」


 そうして寿先輩に付き添ってもらって呉羽先生の下へ行った。