コンコン


 わたしは保健室のドアをノックし、「失礼します」と声を掛けた。

 そして少し躊躇(ためら)いつつも、そのドアを開ける。


 中では、薄く笑みを浮かべた呉羽先生が自分のイスに座って待ち構えていた。



「遅かったな、どうした? 早く中に入れ」

 呉羽先生は、彼の姿を見て怯み足を止めていたわたしに言う。


「は、はい……」

 恐れながらも慌てて返事をしたわたしは、強張りそうになる体を叱咤(しった)して保健室の中に入った。


 寿先輩と一緒に――。