「っ……。そんなことは……」

 “ない”とは言わなかったけど、気まずそうに視線を逸らす流依の答えは言わなくても十分分かった。


「理解していただけたみたいですね。では小都子さん、行きましょう」

 流依がもう反発してこないと判断したみたいで、寿先輩はわたしの手を引いて保健室へ向かった。



 その笑顔が胡散臭く感じるのは何故だろう……。

 いや、いつものことだけど考えないようにしよう。

 何だか呉羽先生とは違う意味で怖い気がするから。



 わたしは寿先輩に手を引かれて歩きながら、最後にもう一度流依を見る。


 流依にも側にいて欲しかったな……。


 特に理由は無かったけど、そんなことを思いながら……。