一つ軽くため息をついた寿先輩は、今度は優しい声で諭(さと)すように言った。

「私だって、今小都子さんを守れるのが貴方しかいないんだったらこんなことは言いません。むしろ授業サボってでも守れと言います」

 そして「でも」と続ける。

「でも今は私がいます。だから貴方はフラワーとしてしっかり生徒の手本になるよう勤めなさい。……それとも、私では頼りないですか? 信頼出来ませんか?」



 そんな風に聞かれて『そうだ』なんて言えるわけがない。

 実際にめちゃくちゃ頼りなくて信頼出来ない人になら言うだろうけど、寿先輩にそれは当てはまらない。


 少なくとも信頼出来ないような人じゃないことは、今まで共に過ごしてきていて十分に分かっている。



 流依もそれは十分承知のはずよね……。



 そのわたしの考えに間違いはなかったみたいで、流依はあからさまに言葉を詰まらせた。