最強ボディーガードの溺愛に、囚われる――。

名家の娘で父親から命を狙われているヒロイン×ボディガードを養成する男子高校の成績トップヒーローという非常にヒキのある組み合わせ。ヒロインは自身を守ってくれるボディガードを探すため、ヒーローが通う学校へ男装して潜入します。入りから読み手を惹きつけるような導入で強く興味を誘われました。「男装」「男子校」は王道の人気設定ですが、自身の世界観を作品に強く反映できているため他作品との差別化ができています。まさに作家の個性が全面に表れる作品でした。一方で後半にかけて全体的に駆け足気味になってしまったのと、ヒロインが男装＆男子校へ潜入している流れを活かしきれなかったようにも思えました。2人が恋に落ちていく過程や、男装して秘密裏に通う潜入設定ならではのエピソードを丁寧に描写することができれば、作品への共感性をさらに高めることができそうです。とても面白い世界観をお持ちなので、強みを存分に活かせるよう頑張っていきましょう！今後の活躍に期待しています！

お世話になる恵那家で出会った男の子。天使のように優しい幼なじみとは反対に、失礼な態度ばかりだけど本当は…

父親の怪我がきっかけとなり、かつての幼なじみ宅で2人の男の子、志希くん真琴くんと同居することになったヒロイン羽衣ちゃん。大人気ワード「同居」に読者が好む傾向を良く落とし込めています。話自体も読みやすく、ビギナーというには筆力が高いなと感じました。明るくポップなテンション感で物語が進んでいくので、サクッと恋愛小説を読みたい！という方にオススメの1作品です。そんな本作の中で気になった点が、話の要となる恋愛エピソードがなあなあになってしまっていたという所。真琴くんには羽衣ちゃんを好きと自覚するエピソードが明記されていましたが、羽衣ちゃんは流れの中で志希くんをなんとなしに好きになっていった印象があります。そして志希くんがなぜ初めて会うはずの羽衣ちゃんを特に気にかけていたのか、理由付け・エピソードをしっかり書けると、よりお話に深みが出てくるはずです。良いところはそのままに、少しずつ補っていきましょう！次回作を楽しみにしています！

私はあなたの、笑顔が見たい――。

本作の主人公は気持ちを偽り続けながらも、常に笑顔でいることが癖づいてしまった女の子。素の自分が出せず息が詰まるような彼女の世界は、偶然にも出会った男の子と過ごすうちに変わっていきます。家族の絆と純愛、そして人として成長していく様子が丁寧に書かれていました。思わず共感してしまうような場面が多かった反面、愛海ちゃんの繊細さが裏目に出たのか思い込みが強くなってしまったり、妹に対して「私は辛い思いをしているのにあなたは…」と卑屈さが出てしまったり…。辛い出来事があったと描写するよりも、少しずつでも自分自身と向き合っていく様をメインに書くことができると、愛海ちゃんがどれほど強く成長できたのかを伝えることができると思います。キャラクターの魅力的な部分が埋もれない書き方を意識してみましょう！今後の活躍に期待しています！

＊あいら＊先生より講評をいただきました！

率直にとても完成度が高いなと思いました…！それぞれ特技や悩みを抱えていてキャラも立っていましたし、コンテストのオススメキーワードもしっかりおさえていて、文章も読みやすかったです…！私の方が勉強させていただいてる気分になりました…！きっとコンテストの応募作なので、内容をぎゅっと1巻に詰め込んだのだろうと思うのですが、ひとりひとりにもう少し尺を使ってエピソードを掘り下げ、じっくりと好きになる過程を書いていけば、シリーズ化も目指せる内容だと思いました！ひとつだけ気になったのは、タイトルと内容が少しあっていない気がしました。彼らの魅力を「めんどくさい」と表現するのはもったいないなと思います…！もちろん、どうしてもそのワードを使いたい理由があったり、他の作品との差別化を狙っているかもしれないと思ったのですが、多くの読者様はかっこよくて魅力的なヒーローを求めているので、書籍化を目指すならタイトルは興味を引く前向きなワードを意識してみてください！「裏の顔はめんどくさい」よりも「私だけに表の顔を見せてくれる」というようなニュアンスの方が、ときめき感も増すかなと…！少しでも参考になれば幸いです…！素敵な作品をありがとうございました！四条さんの次回作も楽しみにしております！

＊あいら＊

＊あいら＊先生より講評をいただきました！

野いちごの王道要素もしっかりとおさえていて、これはランキング1位をとれる作品だろうなと納得しました！おやじギャグを連発する先生など、メインキャラクター以外の個性も立っていて作品としての完成度がとても高かったです！きっと筆が早い方だと思いますし、急成長されるんだろうなと、ちぇあさんの今後を想像して勝手にわくわくしていました…！一点気になった部分をあげさせていただくと、お互いを好きになる理由に、もう少し説得力が欲しかったかもしれません。一度自分はこういう人が好き、こういう人が嫌いというのを分析してみてほしいです…！今も十分魅力的なのですが、客観的に見ることでヒロインとヒーローにもっともっと深みがでると思います！素敵な作品をありがとうございました！ちぇあさんの次回作も楽しみにしております！

＊あいら＊

──ほら、これでもう寂しくないでしょ。だから、ね。泣かないで。

小学5年生の僕と、カメラを持つ不思議なお姉さんのきぃ子ちゃんとの不思議な体験、2人に隠された秘密。序盤から先が気になるような伏線が散りばめられ、まるで子ども時代にしか経験できない特別なファンタジーさを感じます。世界観や設定から独自性が溢れていて完成度の高い作品でした。作中で何度か視点変更があったかと思いますが伏字もあり、今が誰視点のお話なのか分かりづらい箇所が複数ありました。作中で使われている表現もあえて短い単語で分かりやすく…とした結果、かえって難しくなってしまった可能性もあるので、一度読者目線となって自身の作品を読み返してみましょう。野いちごは比較的低年齢層が多いので、ここでは誰に読まれる作品かを考えてみるといいかもしれません。ターゲットを絞るのではなく、年齢性別関係なく万人に読んでもらいたいと思うのであれば、誰が読んでも読みやすい・面白いと思える作品作りを意識してみてください！今後の活躍に期待しています！

かわいい金魚。廻る真水に揺蕩って、死んで？

表紙コメントを拝見した時から目を惹かれました。普段、野いちごではあまりお見かけしない、刺さる人には特段刺さる作品です…！ヒロインの狂気的な感情の中に隠された確かな純愛。怖いと思うはずなのになぜか虜にされるような不思議な感覚でした。誰しもが感じる独占欲、他人を醜いと思うリアルな感情、そういった人間臭さがよく表現されています。また作中にどことなく妖艶な雰囲気も漂っていて、入ってはいけない領域にそっと忍び込むような気持で作品を読んでいました。未知の領域同然の本作で読み進める手が止まらなかったのは、作品の世界観に勝るとも劣らない高い筆力が存分に振るわれているからなのでしょう。ヤンデレの神髄を覗きたい方にはオススメの1作です。野いちごで開催するコンテストでは各レーベルを意識するため、こういった色の作品をなかなか取り上げることはできませんでしたが、今回はフリー部門を含めたビギナーズ向けコンテスト。審査員の好み満載で特別賞とさせていただきました。今後の活躍に期待しています!

これが一生に一度きりの恋ならば、いまやるべきことは一つ。

一時的に帰国した大財閥×平凡なごく一般庶民の勘違いから始まった恋愛。ヒロインには好きな人がいて、間違ってラブレターが届いてしまったという入りが特徴的で面白い導入でした！作品が盛り上がる山場もだれることなく、ちゃんとメリハリがあります。導入・展開でちらばりがちな要所要所の伏線を綺麗にまとめあげていました。ヒーローの言動にはこんな理由があったのかと後半で明らかになるような作りも見事です！ただ内容の完成度が高い分、キャラクターたちについて物足りない、強く頭に残るような個性がほしいなとも感じました。作品を読み終わった後に「このキャラといえばこういう性格だった」「このシーンのセリフが印象的だった」などと思わせることが理想です。お話自体はとてもレベルが高いので、読者に印象づける＆好まれるキャラクターとは何かを研究してみましょう！ここを磨くことができれば作品の魅力は各段に上がるはずです。今後の活躍に期待しています！

「だめ、目そらさないで」砂糖みたいに甘い、いちご王子様――

中学時代にいじめを受けたトラウマから人と関わるのが苦手になってしまったヒロインを中心に展開していく青春ピュアラブストーリー。ヒーローとなる人物は校内で知らない人はいない程の甘いモテ王子。ヒロインが初心なゆえに綺麗に空回りするピュアっピュアな恋愛模様に胸がほっこりしながらも、時折切なくなる片想いの心情に共感できる人も多いのではないでしょうか…！本作品の文字数は74,000字以上、コンテストでは規定文字数が70,000字までのため惜しくも受賞対象外でしたが、野いちごで人気のある作品の特徴をよく掴んでいるなと感じました。ビギナーといえど、2～3ヵ月で70,000文字を書き続けることができる作家さんは強者ですので、自信を持って今後も執筆活動を頑張っていただきたいと思います！ちなみに…単純に読者として続きが気になってしまったので作品の完結を楽しみにしていますね…！

【いいね】

1位　『モテ王子とのルームシェア、お断りします』ちぇあ／著

2位　『【中】暴君の溺愛は、罪なほどに。』結之志希／著

3位　『【完結】きぃ子ちゃんのインスタントカメラ』杏樹まじゅ／著

【ひとこと感想】

1位　『モテ王子とのルームシェア、お断りします』ちぇあ／著

2位　『【中】暴君の溺愛は、罪なほどに。』結之志希／著

3位　『大好きなあなたに、笑顔でまたねと言えますように』まなみん／著