「そんな、私……アイリス様のお顔に傷をつけてしまうなんて……」


 今にも泣きそうな表情でガタガタ震え出す女生徒。

 パニックに陥りかけている。


 わたしは彼女に近付き、落ち着かせるようにそっと頭を撫でた。


「大丈夫……。大丈夫、貴方の所為ではないわ」

 彼女の頬に手を沿え、視線を合わせて微笑む。


「わたしは平気、貴方が気に病むことなんて全く無いの。分かった?」

 そう聞くと、彼女は頬を染めてコクコクと頷いた。


 それに対してもう一度満足そうに微笑んで、わたしは彼女から手を離した。




 ……今のわたし、ヘンなフェロモンでも出していたのかな?


 その場に居た生徒皆が、わたしをとろけたような目で見ている。