流依……。


 誰もいない教室に一人佇む彼。

 わたしの席の辺りに立ち、夕日射す窓の外を静かに見つめていた。


 長い睫毛は僅かに影を落とし、茶色の長い髪は日の光で儚げな橙色に染まっている。


 女の格好をしているからとか、そんなのは何の関係もなく、ただ綺麗だと思った……。



 茜色の一枚の絵のような光景に、わたしは胸が締め付けられるような感覚を覚える。



 やっぱり、流依と共にいたいと思った。






 数分たって、流依がわたしに気付く。


「小都子」

 そう、花のような笑顔を向けた。